「校則」が欲しい大人たち

今、国会で話題になっている森友学園ではどうやら、園児たちに「教育勅語」を暗唱させていたようだ。 この独特のカリキュラムを見て、「戦前的」であると否定したり、中には肯定的に判断する人々も居たようだ。こういった意見の海の中で、私が面白いと思った…

今、震災と向き合う

2011年3月11日、私は10日前に亡くなった祖母のことを想いながら、これから始まる大学生活の準備をしなければいけない時だった。そんな時に全てをひっくり返すような大地震がやってきた。 正直、3・11のことについては断片的にしか記憶が無い。被災地から遠く…

死者を生かす言葉

3月1日。この日は1919年3月1日に発生した3・1独立運動を記念して、韓国では様々な行事が行われ、98年前にどのようなことがあったのかをじっくりと向き合う日となっている。 そして、3月1日は私の母方の祖母が亡くなった日でもある。祖母は1960年代に日本に来…

帝国の落とし子である私から北田氏への応答-戦後民主主義では応答されない人々

上野千鶴子氏の毎日新聞におけるインタビュー記事が話題になった。この記事の中で上野氏は多文化主義を否定し、日本国に住む人々の生活レベルの低下まで望むような発言をした。 移住連をはじめとしたリベラルな知識人たちは上野氏に質問状を送り、上野氏はブ…

カメラ・日常・権力

小森はるか監督の「息の跡」という映画を観に行った。この映画は佐藤貞一さんという「佐藤たね店」という種苗店の主人に3年間密着したドキュメンタリーだ。どこにでも居そうなおじさんが震災を経験し、その経験を日本語ではない他の言語で語ることによって、…

独裁者の血から見えるもの

金正日氏の長男である金正男氏が暗殺された。この暗殺は異母弟である金正恩朝鮮労働党委員長が命じたのではないかと言われている。このショッキングなニュースをパソコンの前の私たちはいつの間にか、国号で「民主主義」と名乗りながら前近代的な政治を行っ…

「本場」を超えて

まずは私の文章を読む前にこの記事を読んで欲しい。 www.gentosha.jp 蕎麦屋でカレーを頼むと異端児のように見られてしまうのだがそんなことはない。蕎麦屋のカレーの素晴らしいことよ。スパイシーなインドカレーやちょっと上品な欧風カレーとは違って、とて…

護憲と独立

先日、南スーダンにPKOとして派遣されていた自衛隊の日報が公開された。この日報とその後の稲田朋美防衛大臣の答弁が問題になっている。今回、公開された日報は以前、破棄されたとして未公開になっていたものだったが、何故か破棄されることなく存在していた…

拝啓 72年前に『沈黙』を経験した貴女へ

如何お過ごしでしょうか?貴女が2011年3月1日に亡くなってから早、6年が経とうとしています。6年の間で色々なことがありました。特に大きなニュースと言えば、貴女の孫娘が子供を2人も生んで、立派なお母さんになったことでしょうか。私たちが「お母さん」と…

「拝啓 デマサイトを管理していた人へ」を読んで頂いた方へ

このブログを読んで頂いた皆様へ この度はお読み頂き、誠に有難う御座います。私が先日、執筆した「拝啓 デマサイトを管理していた人へ」が思いのほか、様々な方に読まれ、様々な反響を頂き、とても驚いています。それと同時に執筆した側として考えさせられ…

拝啓 デマサイトを管理していた人へ

はじめまして。私は貴方と同じ年の25歳の在日コリアンで、名前はSHIONと申します。貴方がこんなブログを読むかどうか分かりませんが、今回、私のブログ上で手紙を書かせて頂きました。本当は私の実際に書いた字で、私の本名と住所をしっかりと明記した上で貴…

「判断」されるための戸籍

去年11月に私が誕生日を迎えて、25歳になった時、母から結婚の話をされるようになった。妹が私よりも先に結婚をして子供を儲けたことや母自身が結婚するのが極めて早かったということがあるのかもしれないが、一番の目的はどうやら直系の孫が見たいという願…

リビングとクラスTシャツと生活保護

高校時代、私の居たクラスでは運動会や体育祭の時にTシャツを作ることが一種の決まりになっていた。私のクラスにはイラストやデザインの上手い子が居て、女の子たちが音頭を取ってTシャツを作っていた。そのシャツを着て運動会や体育祭に参加していたっけな…

こんな時に求められること

民団の呉公太団長が新年会の挨拶の中で慰安婦問題について言及した。2015年の合意を評価し、慰安婦問題を政治的に利用してはいけないということ、少女像については「撤去すべきというのがというのが在日同胞の切実な思いだ」と述べたそうだ。団長としてこの…

歴史と記憶と経験と

日本政府が駐韓大使を一時帰国させた。2015年に締結した慰安婦問題に関しての日韓合意を守らないことが理由だった。日韓合意によって韓国の市民団体が設置した慰安婦像を撤去する話が持ち上がっていたが、釜山の日本総領事館の前に新しく慰安婦像が設置され…

ブログを始めてから

新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。 1月1日は午前中に礼拝へ行き、新年の方針を立て、午後はお世話になっている方々への年賀メッセージを書きながら、伯父の家に行き、伯父の昔話に耳を傾けていました。正月は過去と現在と未…

「野蛮」の中で「野蛮」を見つける

こんなニュースがあったことは知っているだろうか?12月24日の夜、新千歳空港で中国人観光客が大暴れした。北海道では近年まれに見る大雪が降ったせいで、12月22日から欠航が相次いでしまい、とうとう痺れを切らした観光客が大暴れしてしまったというニュー…

「正しい日本文化」というホログラム

テレビを見ていると「正しい日本文化」を教える番組や「正しい日本文化」の素晴らしさについて特集している番組が多くなってきたような気がする。 昔から「日本文化」についての番組はNHKを中心にやっていたけれども、今では民放が、それも割とゴールデンタ…

「分かりやすさ」が売られる世界

こんなニュースを観た。韓国の次期大統領候補にまつわる報道で候補とされる政治家たちの外交姿勢が「親日」と「反日」の二分で分類されていた。 私は大学時代、日韓関係のゼミに居たことや韓国に留学したこともあって「親日」や「反日」という括りでは説明が…

「戦後」を背負わせられた島

沖縄でオスプレイの事故が起きた。メディアは「不時着」としていたけれど、私のような素人からこの事故を観ていると「墜落」としか思えない。どうやら「不時着」と「墜落」という言葉には機体をコントロールできていたか、できていなかったかという大きな差…

見守ってくれた街の近くで

誰にでも「ふるさと」と言えるものがあると思う。私みたいなディアスポラは必ず「ふるさとはどこなんだ」という不毛な論争をしてしまう。そんな争いにうんざりした私は「オクニは?」と質問されても「うーん、今住んでいるところですかね?」とやり過ごす。…

神様を信じている人の日常

福島で100体以上の地蔵や墓を壊した男が捕まった。私はプロテスタントで宗教が全く違う立場とは言え、この事件には憤りを感じる。どういう動機だかは分からないが、これからの記述で色々なことが分かるようになるだろう。 こんな酷いが起きてしまうのと同時…

成宮さんへの報道について

会社で仕事をしていたら、俳優の成宮寛貴さんが引退したというニュースが目に飛び込んできた。どうやら週刊誌で報道されていたコカインの吸引疑惑が彼の引退を決意させる原因だったらしい。最近、芸能人のクスリにまつわる話が多い。チャゲ&飛鳥のASKAが再…

デモの現場から教室を経由して祭祀(チェサ)の現場を観る

朴槿恵大統領の弾劾騒動がとうとう山場を迎えている。野党が12月9日に弾劾決議案を国会で可決することを目指し、セヌリ党の非朴派は12月7日に朴槿恵大統領が辞任時期を示さなければ弾劾決議案に賛成するとのこと。とうとう朴槿恵大統領も追い込まれたという…

吐息に触れる大切さ

ある飲み会に出席したとき、どういう話の流れかは覚えていないけれども、たまたま過労が原因で自殺した電通の社員の話になった。こういった話なると「可哀想だったね」という話になっていく。本当にどう考えているのかは分からないが、そんな社交辞令になっ…

切実さを世界に解き放つ

この間、私の女友達に会った。「会おうね。会おうね。」とお互いに言いながら、なかなか会えず、ようやく会えた友人だった。 社会人になるとどうしても時間が確保できずに困ってしまう。 私の友人の中でもこの女友達はかなり面白い。 ある人の紹介で出会った…

色の無い世界への入り口

先週の土曜日に岡崎乾二郎さんの個展に行ってきた。 1年ぶりに行く場所だったから、「どこだっけ? 」なんて思いながら、スマホさんを頼りにあっちでもない、こっちでもないと色んな道を頼りに会場に向かった。 会場に向かう途中、やたら警官が多いことに気…

大統領のどこに問題があるのか?

朴槿恵大統領が危機に立たされている。以前、このブログでは私の中の「在日」という視点から書いてみた。韓国国内で語られる「独裁」と「民主化」の語り継ぎを私のような在外の人間、それも、もはや韓国籍を失って、日本籍になっている私にどのようにして語…

「綺麗ごとなんかいらないよ」と言う人たちへ

あのトランプが当選した。 まさかの結果に唖然としていた。普通、トランプみたいな候補は予備選で振るい落とされるなんて思っていたけれど、そんなことはない。 トランプは確かに当選してしまった。 様々な世論調査によればヒラリーが優勢ということだったし…

彷徨い続けた画家

先日、馬喰町で開かれているジミー・ミリキタニ展に行ってきた。ジミー・ミリキタニについては大学時代に受けていた文化人類学の授業で映画を通して知っている人だったけれども、こうやって、ジミー・ミリキタニという人の作品を観に行くのは初めてだった。 …