ブログ

歴史が色を持つ時

アエラの記者さんのTwitterが炎上していた。最近、零戦が東京上空を飛んだというニュースに対して、零戦の「美しさ」や「雄姿」を称賛するのではなくて、零戦に平和を奪われた人たちについて知ることが重要であるというコメントが反発を呼んだらしい。 この…

『セデック・バレ』と蓮舫さんと私と

『セデック・バレ』という映画がある。日本の台湾統治時代に台湾の原住民であるセデック族が起こした霧社事件をテーマにした映画で、2部構成、計4時間というとても長い映画だ。だが、不思議なことにこの4時間という時間を感じさせないくらいにとても面白い映…

声を押しつぶす人たち

今、安倍晋三寄りのジャーナリストである山口敬之氏が女性に性的暴行をしたと問題になっている。被害を受けた女性は警察に被害を届けたものの、結果的に嫌疑不十分のため、書類送検になった。 被害を受けた女性は一部ではあるものの実名を公表し、顔を出して…

天皇の言葉を借りて「民主主義」を語る

先日、毎日新聞であることが報道された。その報道とは天皇が退位を巡る有識者会議でとある有識者の発言に対して、天皇が不快感を示したということだった。その有識者の発言とは天皇は祭祀さえすれば良いという発言だったらしい。確かに長年、様々なところを…

Tシャツを脱がせたのは誰だろう

私が在籍していた高校はとても校則が厳しかった。頭髪検査はもちろんのこと、爪の長さや、男子は腰パン、女子はスカートを短くしていないかを視られていた。 卒業した今から考えれば、なぜ、あんなに生徒を拘束していたのかも分からない。別にグれるような連…

ボールが描く虹色の夢

先日、浦和レッズが6-1でアルビレックス新潟に勝ったらしい。久しぶりの大勝と首位にあらゆる人が喜んだ。 しかし、私はその試合を快く観ることができなかった。それは試合内容に不満があったというわけではない。地元のクラブチームとして不名誉なことがあ…

ハッシュタグから世界へ

内輪ネタで盛り上がることはとても面白いことだ。とある文脈を共有しているからこそそのネタが通じるが、その文脈を共有していないと時に大変な意味になってしまう。ある意味、内輪ネタは仲間同士の親睦を深めるには良いのかもしれないが、外でやった場合に…

4月3日

今日は4月3日だ。 日本では今年、年度初めの日となったが、韓国では済州島4・3事件が起きた日として記憶されている。 69年前の4月3日、済州島で島民たちが南朝鮮単独の国会議員総選挙に反対し、一斉蜂起した。韓国政府は済州島に多くの警察や軍人、反共主義…

キリスト教映画としての『哭声』

映画『哭声』を観てきた。 この映画を語る際にどうしてもホラー映画もしくはサスペンス映画として語ってしまいがちだ。確かにこの映画では祈祷師と得体の知れない男である國村隼が激しい呪術対決を行い、グロテスクなシーンも多く見受けられる。 だが、本当…

トカゲの本体を捉える

森友学園の籠池理事長がとうとう国会に証人喚問された。 当初、当事者の自民党は証人喚問に反対していたが、首相を侮辱したという前代未聞の理由で、野党が提案した証人喚問に賛成し、籠池理事長は国会の場に立って、証言をすることになった。 5年ぶりに開か…

「校則」が欲しい大人たち

今、国会で話題になっている森友学園ではどうやら、園児たちに「教育勅語」を暗唱させていたようだ。 この独特のカリキュラムを見て、「戦前的」であると否定したり、中には肯定的に判断する人々も居たようだ。こういった意見の海の中で、私が面白いと思った…

今、震災と向き合う

2011年3月11日、私は10日前に亡くなった祖母のことを想いながら、これから始まる大学生活の準備をしなければいけない時だった。そんな時に全てをひっくり返すような大地震がやってきた。 正直、3・11のことについては断片的にしか記憶が無い。被災地から遠く…

死者を生かす言葉

3月1日。この日は1919年3月1日に発生した3・1独立運動を記念して、韓国では様々な行事が行われ、98年前にどのようなことがあったのかをじっくりと向き合う日となっている。 そして、3月1日は私の母方の祖母が亡くなった日でもある。祖母は1960年代に日本に来…

帝国の落とし子である私から北田氏への応答-戦後民主主義では応答されない人々

上野千鶴子氏の毎日新聞におけるインタビュー記事が話題になった。この記事の中で上野氏は多文化主義を否定し、日本国に住む人々の生活レベルの低下まで望むような発言をした。 移住連をはじめとしたリベラルな知識人たちは上野氏に質問状を送り、上野氏はブ…

カメラ・日常・権力

小森はるか監督の「息の跡」という映画を観に行った。この映画は佐藤貞一さんという「佐藤たね店」という種苗店の主人に3年間密着したドキュメンタリーだ。どこにでも居そうなおじさんが震災を経験し、その経験を日本語ではない他の言語で語ることによって、…

独裁者の血から見えるもの

金正日氏の長男である金正男氏が暗殺された。この暗殺は異母弟である金正恩朝鮮労働党委員長が命じたのではないかと言われている。このショッキングなニュースをパソコンの前の私たちはいつの間にか、国号で「民主主義」と名乗りながら前近代的な政治を行っ…

「本場」を超えて

まずは私の文章を読む前にこの記事を読んで欲しい。 www.gentosha.jp 蕎麦屋でカレーを頼むと異端児のように見られてしまうのだがそんなことはない。蕎麦屋のカレーの素晴らしいことよ。スパイシーなインドカレーやちょっと上品な欧風カレーとは違って、とて…

護憲と独立

先日、南スーダンにPKOとして派遣されていた自衛隊の日報が公開された。この日報とその後の稲田朋美防衛大臣の答弁が問題になっている。今回、公開された日報は以前、破棄されたとして未公開になっていたものだったが、何故か破棄されることなく存在していた…

拝啓 72年前に『沈黙』を経験した貴女へ

如何お過ごしでしょうか?貴女が2011年3月1日に亡くなってから早、6年が経とうとしています。6年の間で色々なことがありました。特に大きなニュースと言えば、貴女の孫娘が子供を2人も生んで、立派なお母さんになったことでしょうか。私たちが「お母さん」と…

「拝啓 デマサイトを管理していた人へ」を読んで頂いた方へ

このブログを読んで頂いた皆様へ この度はお読み頂き、誠に有難う御座います。私が先日、執筆した「拝啓 デマサイトを管理していた人へ」が思いのほか、様々な方に読まれ、様々な反響を頂き、とても驚いています。それと同時に執筆した側として考えさせられ…

拝啓 デマサイトを管理していた人へ

はじめまして。私は貴方と同じ年の25歳の在日コリアンで、名前はSHIONと申します。貴方がこんなブログを読むかどうか分かりませんが、今回、私のブログ上で手紙を書かせて頂きました。本当は私の実際に書いた字で、私の本名と住所をしっかりと明記した上で貴…

「判断」されるための戸籍

去年11月に私が誕生日を迎えて、25歳になった時、母から結婚の話をされるようになった。妹が私よりも先に結婚をして子供を儲けたことや母自身が結婚するのが極めて早かったということがあるのかもしれないが、一番の目的はどうやら直系の孫が見たいという願…

リビングとクラスTシャツと生活保護

高校時代、私の居たクラスでは運動会や体育祭の時にTシャツを作ることが一種の決まりになっていた。私のクラスにはイラストやデザインの上手い子が居て、女の子たちが音頭を取ってTシャツを作っていた。そのシャツを着て運動会や体育祭に参加していたっけな…

こんな時に求められること

民団の呉公太団長が新年会の挨拶の中で慰安婦問題について言及した。2015年の合意を評価し、慰安婦問題を政治的に利用してはいけないということ、少女像については「撤去すべきというのがというのが在日同胞の切実な思いだ」と述べたそうだ。団長としてこの…

歴史と記憶と経験と

日本政府が駐韓大使を一時帰国させた。2015年に締結した慰安婦問題に関しての日韓合意を守らないことが理由だった。日韓合意によって韓国の市民団体が設置した慰安婦像を撤去する話が持ち上がっていたが、釜山の日本総領事館の前に新しく慰安婦像が設置され…

ブログを始めてから

新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。 1月1日は午前中に礼拝へ行き、新年の方針を立て、午後はお世話になっている方々への年賀メッセージを書きながら、伯父の家に行き、伯父の昔話に耳を傾けていました。正月は過去と現在と未…

「野蛮」の中で「野蛮」を見つける

こんなニュースがあったことは知っているだろうか?12月24日の夜、新千歳空港で中国人観光客が大暴れした。北海道では近年まれに見る大雪が降ったせいで、12月22日から欠航が相次いでしまい、とうとう痺れを切らした観光客が大暴れしてしまったというニュー…

「正しい日本文化」というホログラム

テレビを見ていると「正しい日本文化」を教える番組や「正しい日本文化」の素晴らしさについて特集している番組が多くなってきたような気がする。 昔から「日本文化」についての番組はNHKを中心にやっていたけれども、今では民放が、それも割とゴールデンタ…

「分かりやすさ」が売られる世界

こんなニュースを観た。韓国の次期大統領候補にまつわる報道で候補とされる政治家たちの外交姿勢が「親日」と「反日」の二分で分類されていた。 私は大学時代、日韓関係のゼミに居たことや韓国に留学したこともあって「親日」や「反日」という括りでは説明が…

「戦後」を背負わせられた島

沖縄でオスプレイの事故が起きた。メディアは「不時着」としていたけれど、私のような素人からこの事故を観ていると「墜落」としか思えない。どうやら「不時着」と「墜落」という言葉には機体をコントロールできていたか、できていなかったかという大きな差…